グレコに見送られた一行は、八千代の家に着くまでに今日の感想を伝え合っていた。
龍生
「いや、しかしクッキー美味しかったな。明日もなんか出るかなぁ」
八千代
「もー、第一声がそれなの?
グレコさん可哀想」
和馬
「でも八千代ネェもお代わりしてたじゃん!」
八千代
「それとこれとは……。まぁ、クッキーが美味しかったのは事実ね。あとニードさんがめちゃくちゃ綺麗だったの!」
龍生
「そうか? なんかあんまり存在感感じなかったけど。無口だし、ボーっとしてる感じ?」
八千代
「もー、タッちゃんはほんと失礼ね。
ニードさんのお菓子食べる権利はありません!」
龍生
「そ、それとこれとは別でしょうよ!」
和馬
「明日はお兄ちゃんの分まで食べちゃおー!」
龍生
「バカ、カー。ニードさんのお菓子は、みんなで公平に分けなきゃだろ。うん、公平にね」
八千代
「また、タッちゃんの公平だ!
すぐ、公平、公平って」
龍生
「そりゃそうさ。同じ距離を走るとして、俺と八千代と和馬がおんなじスタートだと、結果は誰でも分かるだろ?
クッキーだって同じさ。
身体のサイズ、胃の大きさ。
誰がどれだけ必要かはさ、分かるだろ?」
和馬
「身体の小さい僕が最初に食べられるってことだね」
八千代
「もう、兄弟だね。
お菓子は平等よ、平等!」
龍生
「なんだよー」
八千代
「ふふふ」
龍生
「だけど、話してみると全然イメージ違ったよな」
八千代
「そうだね。グレコさんは優しいし、ニードさんは格好いいし、凄く綺麗だった。憧れちゃうなぁ〜」
和馬
「リンクルが凄く可愛かった!」
龍生
「リンクルは面白いの間違いだろ? バウバウ。
しゃくれ声でさぁ、バウバウ」
*しゃくれ顔で戯ける龍生
和馬
「違うよー。リンクルは可愛いし、凄く頭もいいんだからー」
八千代
「カズ君はリンクル好きだね」
和馬
「だ〜い好き! 明日は一緒に散歩行けないかなぁ」
龍生
「10キロ歩くって言ってたぞ。
大変だよ、カーには無理だ」
八千代
「まぁ、ちょっとだけお願いしてみましょう」
和馬
「へへー、さすが八千代ネェ」
龍生
「八千代はカーに甘いなぁ。俺には結構厳しいのに」
八千代
「そんな事、ありません!
って、もう着いちゃった」
龍生
「お、見えてきた。
御菓子司白石屋、もう閉店してるか?」
八千代
「19:00過ぎたからね。
あ……でも格子戸がまだ開いてる」
ガラガラ
八千代
「お母さん……ただいま〜。
遅くなってごめんね」
和子
「あら、八千代、おかえり!
遅いけどぉ、ま、タッちゃんいるからね。
でもタッちゃん、カズ君もいるんだから、今日より遅くなったら駄目だからね」
龍生
「えー、俺が悪いの?」
和子
「そりゃそうよ。タッちゃんがリーダーでしょ?
あんた達三人組はさぁ」
龍生
「なんだよ、三人組ってー。それならリーダーは八千代じゃん? いつも仕切ってるんだし」
八千代
「私は仕切ってなんかないわよー。みんなが自由すぎるから、言いたくない事も言わなきゃなんだから!」
龍生
「ほらみろー、仕切ってるじゃーん」
八千代
「もー、お母さんが変なこと言うからー」
和子
「ふふふ、ほんと仲良いわねぇ。妬いちゃうわ」
*手をわざとらしく口にあてる
和馬も真似して口に手をあてる
「ふふふふふふ」
龍生、八千代
「カー!」
「カズ君!」
和子
「ふふ。まぁ、タッちゃん達ももう遅くなるから、早く帰んなさいよ。今日の残りものだけど、これ、持ってきな」
龍生
「えー、いつも悪いですねぇ!」
八千代
「なによ、そのおっさんみたいな言い方」
和馬
「悪いですねぇ!」
八千代
「もー、カズ君。タッちゃんのバカがうつってるよ!」
八千代の母が残りといいながら、龍生の家族分のおはぎを持たせる。
龍生
「ありがとう、おばさん。
八千代、明日また学校で!
昼から時間空けとけよ」
和馬
「ありがとうございます!」
和子
「明日もね、よろしくねぇ」
八千代
「明日ね、おやすみ!」
龍生、和馬が家に向かう。
つづく